2008/12/1 朝日新聞 社説 イラクの米軍
イラクに駐留する15万人の米軍が、3年後までに完全撤退する。そんな米国とイラクの協定がイラク議会で承認された。
米軍の撤退期限が明示されたのは初めてで、米軍にとって、混迷が続くイラクから足を抜く段取りがやっと決まったことになる。
今回の議会採決で注目したいのは、米軍の駐留に強く反発し、マリキ政権にもあまり参加していなかったスンニ派勢力が賛成したことだ。
スンニ派は、来年7月に協定の是非を問う国民投票を実施することなどの条件を加えた。議会の多数派を占めるシーア派とクルド人がスンニ派の要求に譲歩し、主力3勢力による合意が実現した。この一歩を大事にし、今後の国民和解につなげてほしい。
だが、来年の国民投票で協定が否決されれば、元も子もない。米軍に強引な軍事行動が見えれば、せっかく芽生えた信頼は崩壊してしまう。
米国がイラク戦争で失った威信をどう取り戻すか。「出口」は見えたが、その道筋は険しい。
イラクに駐留する15万人の米軍が、3年後までに完全撤退する。そんな米国とイラクの協定がイラク議会で承認された。
米軍の撤退期限が明示されたのは初めてで、米軍にとって、混迷が続くイラクから足を抜く段取りがやっと決まったことになる。
今回の議会採決で注目したいのは、米軍の駐留に強く反発し、マリキ政権にもあまり参加していなかったスンニ派勢力が賛成したことだ。
スンニ派は、来年7月に協定の是非を問う国民投票を実施することなどの条件を加えた。議会の多数派を占めるシーア派とクルド人がスンニ派の要求に譲歩し、主力3勢力による合意が実現した。この一歩を大事にし、今後の国民和解につなげてほしい。
だが、来年の国民投票で協定が否決されれば、元も子もない。米軍に強引な軍事行動が見えれば、せっかく芽生えた信頼は崩壊してしまう。
米国がイラク戦争で失った威信をどう取り戻すか。「出口」は見えたが、その道筋は険しい。