2008/11/2 朝日新聞 社説 空幕長更迭
田母神俊雄・航空幕寮長が日本の植民地支配や侵略行為を正当化し、旧軍を美化する論文を書いた。
空幕長は航空自衛隊のトップであり、軍事専門家としては無論のこと、高い人格や見識、バランスの取れた判断力が求められる。その地位にいる人物が今回の事件を起こし、驚き、あきれ、そして心胆が寒くなる心地である。
しかし田母神氏の奇矯な言動は今回に限ったことではない。防衛省内では要注意人物であると広く認識されていたのに、歴代の防衛首脳は田母神氏の言動を放置し、トップに上り詰めさせた。そして誰も彼を止められない。
これは「文民統制」の危機というべきだ。浜田防衛相は田母神氏を更迭したが、この過ちの重大さはそれだけでは済まされない。
国際関係への影響も深刻だ。麻生首相は今回の論文を「不適切」と語ったが、まずこの事態を生んだ組織や制度の欠陥を徹底的に調べ、その結果と改善策を国会に報告すべきである。
田母神俊雄・航空幕寮長が日本の植民地支配や侵略行為を正当化し、旧軍を美化する論文を書いた。
空幕長は航空自衛隊のトップであり、軍事専門家としては無論のこと、高い人格や見識、バランスの取れた判断力が求められる。その地位にいる人物が今回の事件を起こし、驚き、あきれ、そして心胆が寒くなる心地である。
しかし田母神氏の奇矯な言動は今回に限ったことではない。防衛省内では要注意人物であると広く認識されていたのに、歴代の防衛首脳は田母神氏の言動を放置し、トップに上り詰めさせた。そして誰も彼を止められない。
これは「文民統制」の危機というべきだ。浜田防衛相は田母神氏を更迭したが、この過ちの重大さはそれだけでは済まされない。
国際関係への影響も深刻だ。麻生首相は今回の論文を「不適切」と語ったが、まずこの事態を生んだ組織や制度の欠陥を徹底的に調べ、その結果と改善策を国会に報告すべきである。