2009/5/25 朝日新聞 社説 日本の宇宙開発
軍事にばかり目が向いていると、日本の宇宙開発は先細りしかねない。政府の宇宙開発戦略本部が初めてまとめた宇宙基本計画案を見ると、改めてこんな懸念を抱く。
計画案は、アジアの防災に貢献する陸や海の観測、気象観測等5つの利用分野と、宇宙科学や有人活動等4つの科研究開発分野を掲げ、今後10年を視野において5年間で進める計画を掲げている。安全保障はその利用分野の1つだ。
計画案は、宇宙技術は使い方次第で民生にも軍事目的にも使える「デュアルユース」の考えを持ち出し、安全保障への利用を広げようとしている。それならば、企業間の競争がある民生部門でこそ技術を磨くべきだ。
防衛関連の技術は割高になり、その秘密主義は技術の発達を妨げる。安全保障の名のもとに採算を度外視した計画が増えれば、民生部門にしわ寄せが及ぶ恐れもあろう。
国際的に大きくとらえる視点をも持ちつつ、日本の飛躍につながる基本計画であってほしい。
軍事にばかり目が向いていると、日本の宇宙開発は先細りしかねない。政府の宇宙開発戦略本部が初めてまとめた宇宙基本計画案を見ると、改めてこんな懸念を抱く。
計画案は、アジアの防災に貢献する陸や海の観測、気象観測等5つの利用分野と、宇宙科学や有人活動等4つの科研究開発分野を掲げ、今後10年を視野において5年間で進める計画を掲げている。安全保障はその利用分野の1つだ。
計画案は、宇宙技術は使い方次第で民生にも軍事目的にも使える「デュアルユース」の考えを持ち出し、安全保障への利用を広げようとしている。それならば、企業間の競争がある民生部門でこそ技術を磨くべきだ。
防衛関連の技術は割高になり、その秘密主義は技術の発達を妨げる。安全保障の名のもとに採算を度外視した計画が増えれば、民生部門にしわ寄せが及ぶ恐れもあろう。
国際的に大きくとらえる視点をも持ちつつ、日本の飛躍につながる基本計画であってほしい。