2009/8/5 朝日新聞 社説 安保懇報告
政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」が報告書をまとめ、麻生首相に提出した。
報告書でまず目を引くのは、北朝鮮の弾道ミサイルに対応するためとして集団的自衛権をめぐる解釈の見直しを求めたことだ。だが、政府は現在の技術の限界も含めて現実に即して運用を議論すべきであり、憲法上、行使できないとしている集団的自衛権の問題と関連づける必要があるとは思えない。
より問題なのは、「専守防衛」の原則について、その意味を明確にし、できることとできないことを整理すべきだと指摘した点だ。
専守防衛は、憲法9条のもとで自衛隊を持つにあたって、ゆるがせにできない原則である。報告書は「先制攻撃は憲法で禁じられているという基本は押さえつつ」としているが、自衛隊の果たせる役割を拡大したいという考え方だろう。ならば、どう広げるのかを具体的に指摘し、専守防衛原則との整合性を厳密に論じるべきである。
政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」が報告書をまとめ、麻生首相に提出した。
報告書でまず目を引くのは、北朝鮮の弾道ミサイルに対応するためとして集団的自衛権をめぐる解釈の見直しを求めたことだ。だが、政府は現在の技術の限界も含めて現実に即して運用を議論すべきであり、憲法上、行使できないとしている集団的自衛権の問題と関連づける必要があるとは思えない。
より問題なのは、「専守防衛」の原則について、その意味を明確にし、できることとできないことを整理すべきだと指摘した点だ。
専守防衛は、憲法9条のもとで自衛隊を持つにあたって、ゆるがせにできない原則である。報告書は「先制攻撃は憲法で禁じられているという基本は押さえつつ」としているが、自衛隊の果たせる役割を拡大したいという考え方だろう。ならば、どう広げるのかを具体的に指摘し、専守防衛原則との整合性を厳密に論じるべきである。