2008/11/12 朝日新聞 社説 前空幕長
航空自衛隊の田母神前空幕長を招いて参院で参考人質疑が行われた。事態の深刻さが、そして何が問われているのかが理解できていない、そんな懸念を強く抱かせるものだった。
戦後の日本は過去の反省から、自衛隊を作る際にも、厳格な文民統制の下におくこと、そして旧日本軍とは隔絶された新しい組織であることを大原則とした。憲法9条に反するという反対論も根強かった中で、国民の信頼を築いてきたのは、この原則からの逸脱を厳しく戒めてきた自衛官の半世紀にわたる努力の結果である。
それが自衛官のトップにいた人物が、こうした原則や過去の反省、努力の積み重ねを突き崩しておいて、なお「言論の自由」を言い募る神経を疑う。
無論、自衛官にも言論の自由はある。しかし、政府の命令で軍事力を行使する組織の一員である以上、相応の制約が課されるのは当然だろう。
また今回の事態を受けて、文民統制の主役としての政治の動きの鈍さが目に付いた。
航空自衛隊の田母神前空幕長を招いて参院で参考人質疑が行われた。事態の深刻さが、そして何が問われているのかが理解できていない、そんな懸念を強く抱かせるものだった。
戦後の日本は過去の反省から、自衛隊を作る際にも、厳格な文民統制の下におくこと、そして旧日本軍とは隔絶された新しい組織であることを大原則とした。憲法9条に反するという反対論も根強かった中で、国民の信頼を築いてきたのは、この原則からの逸脱を厳しく戒めてきた自衛官の半世紀にわたる努力の結果である。
それが自衛官のトップにいた人物が、こうした原則や過去の反省、努力の積み重ねを突き崩しておいて、なお「言論の自由」を言い募る神経を疑う。
無論、自衛官にも言論の自由はある。しかし、政府の命令で軍事力を行使する組織の一員である以上、相応の制約が課されるのは当然だろう。
また今回の事態を受けて、文民統制の主役としての政治の動きの鈍さが目に付いた。