2009/5/29 朝日新聞 社説 厚労省分割
麻生政権が次の総選挙の目玉にと意気込んでいた厚生労働省の「分割・再編」の雲行きが怪しくなってきた。
「分割・再編」案の発端は、首相が将来の国家ビジョンを話し合うためにと作った安心社会実現会議で、渡辺恒雄・読売新聞グループ会長が分割案を提唱したことだった。これを受け、首相は持論を披露し、政府内での検討を指示した。
だが、関係閣僚の話し合いでは慎重論が続出し、与党内からも「拙速だ」という批判が 噴き出した。
時代の変化に応じて敏感に、柔軟に行政組織を見直すというのは、あって当然のことだ。しかし、「だから分割を」という論議がいきなり走り出した今回の進め方は、あまりに短絡的であった。
数か月以内に確実に総選挙があるというこの時期に泥縄式に議論を進めて、まともな結論が得られるのかといえば、疑問が残る。国民が望むのは役所の姿はどうであれ、しっかり仕事をしてもらうことだ。そこを見誤らないでほしい。
麻生政権が次の総選挙の目玉にと意気込んでいた厚生労働省の「分割・再編」の雲行きが怪しくなってきた。
「分割・再編」案の発端は、首相が将来の国家ビジョンを話し合うためにと作った安心社会実現会議で、渡辺恒雄・読売新聞グループ会長が分割案を提唱したことだった。これを受け、首相は持論を披露し、政府内での検討を指示した。
だが、関係閣僚の話し合いでは慎重論が続出し、与党内からも「拙速だ」という批判が 噴き出した。
時代の変化に応じて敏感に、柔軟に行政組織を見直すというのは、あって当然のことだ。しかし、「だから分割を」という論議がいきなり走り出した今回の進め方は、あまりに短絡的であった。
数か月以内に確実に総選挙があるというこの時期に泥縄式に議論を進めて、まともな結論が得られるのかといえば、疑問が残る。国民が望むのは役所の姿はどうであれ、しっかり仕事をしてもらうことだ。そこを見誤らないでほしい。