2009/6/1 朝日新聞 社説 スリランカ
スリランカのラジャパクサ大統領が内戦の勝利を宣言した。政府軍が反政府勢力のタミル・イーラムの虎(LTTE)を軍事制圧したのだ。
だが、素直には喜べない。多くの住民が戦闘で犠牲になり、戦闘終結後も人道危機は続いているからだ。分離独立を唱えて自爆テロを繰り返したLTTEは、終局間際数万人の住民を「盾」にし、逃げる人々の背に弾丸を浴びせた。
気になるのは土壇場での戦闘の実態と「人間の盾」の真相だ。捕虜になった元兵士の処遇も心配だ。スリランカ政府は人権状況を点検する中立的な国際調査団を自ら組織してはどうか。ラジャパクサ大統領も民族和解による和平の必要性を唱えている。
だが多くのタミル人はまだ不信と不安を抱いているに違いない。戦闘で破壊された地区の復興を急ぎ、避難民を帰還させる。その上で、タミル人にどの程度権限を移譲するのかなどの、真摯な政治対話が必要だ。
民族の和解に向け、日本政府には一歩を踏み出してもらいたい。
スリランカのラジャパクサ大統領が内戦の勝利を宣言した。政府軍が反政府勢力のタミル・イーラムの虎(LTTE)を軍事制圧したのだ。
だが、素直には喜べない。多くの住民が戦闘で犠牲になり、戦闘終結後も人道危機は続いているからだ。分離独立を唱えて自爆テロを繰り返したLTTEは、終局間際数万人の住民を「盾」にし、逃げる人々の背に弾丸を浴びせた。
気になるのは土壇場での戦闘の実態と「人間の盾」の真相だ。捕虜になった元兵士の処遇も心配だ。スリランカ政府は人権状況を点検する中立的な国際調査団を自ら組織してはどうか。ラジャパクサ大統領も民族和解による和平の必要性を唱えている。
だが多くのタミル人はまだ不信と不安を抱いているに違いない。戦闘で破壊された地区の復興を急ぎ、避難民を帰還させる。その上で、タミル人にどの程度権限を移譲するのかなどの、真摯な政治対話が必要だ。
民族の和解に向け、日本政府には一歩を踏み出してもらいたい。