2009/6/9 朝日新聞 社説 南ア新大統領
南アフリカにズマ新大統領の政権が誕生して1か月が経った。
94年にアパルトヘイトが終わって以来、南アを率いてきたマンデラ、ムベキ両氏の流れを継ぐ強力な指導者である。
異色なのは、最大民族ズールー族出身であることを前面に出すなど、アフリカ土着の伝統を強調する政治姿勢だ。国内の黒人低所得者層には熱狂的な支持がある一方で、白人富裕層や欧米社会からは、部族や階層間の対立が強まるのではないかと心配されている。
南アは今、重大な岐路にさしかかっている。好調だった経済成長を背景に、有力新興国の集まりで作るG20の一角にアフリカから唯一加わる。だが、その経済が腰折れ状態だ。失業率は高く、治安状態も悪い。
この危機をどう乗り越えるか。新大統領のかじ取り次第では、一国の問題にとどまらず、アフリカ全体の安定にも影響する。国内の声を聞きつつ、国際社会とも調和する。そんな地に足のついた指導力を期待したい。
南アフリカにズマ新大統領の政権が誕生して1か月が経った。
94年にアパルトヘイトが終わって以来、南アを率いてきたマンデラ、ムベキ両氏の流れを継ぐ強力な指導者である。
異色なのは、最大民族ズールー族出身であることを前面に出すなど、アフリカ土着の伝統を強調する政治姿勢だ。国内の黒人低所得者層には熱狂的な支持がある一方で、白人富裕層や欧米社会からは、部族や階層間の対立が強まるのではないかと心配されている。
南アは今、重大な岐路にさしかかっている。好調だった経済成長を背景に、有力新興国の集まりで作るG20の一角にアフリカから唯一加わる。だが、その経済が腰折れ状態だ。失業率は高く、治安状態も悪い。
この危機をどう乗り越えるか。新大統領のかじ取り次第では、一国の問題にとどまらず、アフリカ全体の安定にも影響する。国内の声を聞きつつ、国際社会とも調和する。そんな地に足のついた指導力を期待したい。