2009/7/11 朝日新聞 社説 密約文書破棄
1960年の日米安全保障条約改定の際、核兵器の持ち込みをめぐる日米密約が交わされた問題で、またもや新たな証言が飛び出した。
情報公開法が施行された01年頃、当時の外務省幹部が密約の関連文書をすべて破棄するよう指示していた。元政府高官が匿名を条件に朝日新聞にそう明かしたのだ。
これまで政府は、密約は存在しないという立場をとってきたが、先日、外務事務次官を務めた村田良平氏が密約の存在を認めた。それに続く「破棄指示」の証言であり、国民に対する許し難い背信行為だろう。外交上、密約が必要だったとしても、後に国民に公開し、妥当性について説明するのが政府の責任であるはずだ。
麻生首相は間近に迫った総選挙をにらみ、自民党の政権担当能力を強調している。ここで事実関係の調査に乗り出し、長年の一党支配によるうみを出して見せてはどうか。
総選挙を前に噴出したこの問題は、日本の民主主義の成熟度を根底から問いかけている。
1960年の日米安全保障条約改定の際、核兵器の持ち込みをめぐる日米密約が交わされた問題で、またもや新たな証言が飛び出した。
情報公開法が施行された01年頃、当時の外務省幹部が密約の関連文書をすべて破棄するよう指示していた。元政府高官が匿名を条件に朝日新聞にそう明かしたのだ。
これまで政府は、密約は存在しないという立場をとってきたが、先日、外務事務次官を務めた村田良平氏が密約の存在を認めた。それに続く「破棄指示」の証言であり、国民に対する許し難い背信行為だろう。外交上、密約が必要だったとしても、後に国民に公開し、妥当性について説明するのが政府の責任であるはずだ。
麻生首相は間近に迫った総選挙をにらみ、自民党の政権担当能力を強調している。ここで事実関係の調査に乗り出し、長年の一党支配によるうみを出して見せてはどうか。
総選挙を前に噴出したこの問題は、日本の民主主義の成熟度を根底から問いかけている。