2009/6/7 朝日新聞    社説  入管法改正


 政府は在留外国人をめぐる制度を大きく変えようとしているが、内容には問題も多い。
 法務省はICチップつきの在留カードを発行して、滞在にかかわる情報を一元管理する。勤め先や学校が変わった時には届けなければならない。法務省は情報を継続的にチェックし、在留資格を取り消すこともあるという。
 外国人の滞在状況を正確に把握する体制は必要だ。だが届け出を忘れただけで罰金が取られ、日本から追い出されるかもしれず、普通に生活を送る外国人に過度の負担を強いることにならないか。
 一方で、住民基本台帳に新たに外国人を載せる改正案は、外国人を地域の一員として位置づけており、これはいい方向だ。
 ただ滞在期間が超過した人に対し、新制度は厳しすぎるのではないか。中には真面目に働いて地域に定着した人も多く、彼らを行政サービスから遠ざけてはならない。
 こうした論点をめぐり、監視よりも共生の発想でさらに知恵を絞ってもらいたい。

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