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冤罪事件・第三次再審請求 公判の記録 に参加中!
2009/6/5 朝日新聞     社説  足利事件


 1990年、栃木県足利市で女児が殺害された。警察は幼稚園のバス運転手だった菅家利和さんを逮捕した。その菅家さんが昨日、釈放された。
 逮捕の決め手は、DNA型鑑定だった。犯人と菅家さんの体液が一致したとの結果が出たのだ。鑑定結果を突き付けられ、菅家さんは犯行を自白したという。一審公判の途中で「虚偽の自白を迫られた」と否認に転じたが、一審も二審も最高裁も、DNA型鑑定と「自白」の方を信用し、無期懲役の刑が確定した。
 獄中の菅家さんと弁護団は再審を請求し、再鑑定を求めた。事件当時と比べて鑑定精度がはるかに向上したからだ。結果は一転、犯人と菅家さんのDNA型は一致しないというものだ。これは衝撃的な事態である。初期の鑑定の信用度が揺らぐ影響は計り知れない。
 裁判所にも猛省を促したい。DNA型鑑定を信用するあまり、無理やり引き出された「自白」の信用性を十分検討しなかった面はないか。再審裁判ではこの点の検証が不可欠である。

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