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2009/5/5 朝日新聞    社説  日立の転換


 「総合電機メーカー」として、日立製作所は長く君臨してきた。しかし4月に就任したばかりの川村会長兼社長は、「総合」の看板をおろし「選択と集中」を進めると宣言した。
 戦後の高度経済成長時代には、多くの業界で「総合」企業が活躍した。だが、右肩上がりの時代が終わると、かじ取りは難しくなる。日立でいえば、電力業界の設備投資が減り始めた90年代後半が転換点だった。中核部門が落ち込んだうえ、新規事業も視界不良になった。
 だがここで、日立は「総合」の強化により生き残りを図った。自動車関連などに期待をかけたが、世界同時不況でどれも裏目に出た。そこで今後は、家電の比重を下げ、発電・送電や鉄道、企業の情報基盤など社会インフラ部門に軸足をすえるという。
 総合経営は追いつくときはいいが、競争の先頭に立った時には新たな産業を生み出す力が弱い。脱・総合の課題は、新しい産業や社会の展望を開くことだ。その姿を示してほしい。

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