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2009/4/30 朝日新聞    社説  日中の環境協力


 三方を海に囲まれた中国有数の工業都市、大連市は1980年代まで、ばい煙に覆われたすすけた街であり、海や河川の水質汚染も深刻だった。
 大連市が環境改善に本腰を入れたのは92年からだ。工場に先進的な技術や設備を導入させ、セメントなど汚染が深刻な工場は郊外移転を進めた。これを支援したのが、大連の友好都市の北九州市だ。60年代に公害で苦しんだ北九州市の経験をいかし、大連の環境は大幅に改善された。政府に先んじて、公害行政を進めてきた自治体による国際貢献の幅を、もっと広げていきたい。
 72年の国交正常化以来、日中両国は環境分野で政府間、民間の協力を少しずつ積み上げてきた。ただこれまでの協力は、資金や技術の給与が中心だった。それに加えて一段と必要になるのが、環境保全の制度や枠組み作りへの協力だ。NGOなどの民間の役割もさらに大きくなる。
 参考にしたいのは、裁判所が「被告挙証責任」という考えを採用したことだ。これは損害が工場の汚染によるものではないことを証明する責任を被告の工場に負わせ、証拠を集めにくい被害者の不利を是正する仕組みだ。法律面での前進は、日本との交流の成果だという。
 公害には国境がなく、エネルギーを石炭に頼る中国が日本に酸性雨をもたらすなど、大陸で発生した汚染物質が偏西風によって飛んでくる。国内総生産で世界3位となった経済大国の環境問題は、世界全体の環境にも決定的な影響を与える。中国にはポスト京都議定書の枠組み作りでも「経済大国」としての責任を自覚してもらわなければならない。
 産業公害への対策にとどまらず、ごみの分別収集や再利用、資源循環、減量化など、日本の自治体や企業、NGOが蓄積した技術を中国が真剣に必要とする時代が来ている。中国、さらにはアジアの国々が「公害抜き」の発展へ軌道修正していくため、日本の苦い経験を生かしたい。

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