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2009/4/18 朝日新聞   社説  調書流失判決


 少年の精神鑑定をした医師が秘密漏示罪に問われた裁判で、奈良地裁は有罪判決を言い渡した。
 医師は調書を見せる際、自身で立会いもせず、まるごと取材者が見るままに任せた。確かに医師の行動は鑑定人として軽率といわれても仕方がない。だが、少年の更生やプライバシーの保護と表現の自由という2つの価値がぶつかりあう問題で、直ちに刑事罰を課すほどの悪質性があったのかは疑問だ。
 見逃せないのが筆者と発行元の講談社の責任だ。筆者らは調書の取り扱いについて、医師との間で「コピーせず、直接引用もしない。原稿は点検させる」との約束を交わしていた。ところが、見せてもらった調書を撮影したうえ、問題の単行本はほとんどその調書の引用だった。
 少年や家族のプライバシーに踏み込みすぎたばかりか、捜査当局にたやすく情報源を割り出されてしまった。取材者としてのモラルを忘れた代償は大きい。筆者と講談社に、深い反省を改めて求めたい。

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