2009/3/26 朝日新聞 社説 原爆症判決
原爆で放射線を浴び後遺症に苦しんでいる人たちが、病気が原爆によるものだと政府に認めさせるべく、集団訴訟を起こしている。
15度目の司法判決になった広島地裁判決は、その訴えを認め、原爆症の認定申請を却下した厚生労働大臣の処分を取り消した。
広島地裁で注目されるのは、集団訴訟で初めて国家賠償を認め、賠償金を支払うよう命じたことだ。判決は分科会任せにしてきた厚労相の怠惰を厳しく批判した。
厚労省は昨年4月、「機械的」とされる認定基準を改めたが、被爆による健康被害の実態を的確に捉えたものとは言い難い。新しい基準が特定の5つの病気に限っているからだ。
もう一つ問題なのは、判決が批判した評価方法にこだわる委員の多くが分科会で審査に当たっていることだ。
被爆者の被害実態に目を向けて認定基準を改め、新たな構成の分科会で審査に当たる。政府は今度こそ被爆者の声を真摯に受け止め、幅広い救済を急がねばならない。
原爆で放射線を浴び後遺症に苦しんでいる人たちが、病気が原爆によるものだと政府に認めさせるべく、集団訴訟を起こしている。
15度目の司法判決になった広島地裁判決は、その訴えを認め、原爆症の認定申請を却下した厚生労働大臣の処分を取り消した。
広島地裁で注目されるのは、集団訴訟で初めて国家賠償を認め、賠償金を支払うよう命じたことだ。判決は分科会任せにしてきた厚労相の怠惰を厳しく批判した。
厚労省は昨年4月、「機械的」とされる認定基準を改めたが、被爆による健康被害の実態を的確に捉えたものとは言い難い。新しい基準が特定の5つの病気に限っているからだ。
もう一つ問題なのは、判決が批判した評価方法にこだわる委員の多くが分科会で審査に当たっていることだ。
被爆者の被害実態に目を向けて認定基準を改め、新たな構成の分科会で審査に当たる。政府は今度こそ被爆者の声を真摯に受け止め、幅広い救済を急がねばならない。