今日の朝日新聞社説-要約-

朝日新聞社説の要約です。忙しいあなたなら3分で読める今日の社説。受験生のあなたには要約のススメ。

2009年03月

原爆症判決

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反戦・平和 に参加中!
2009/3/26 朝日新聞      社説  原爆症判決


 原爆で放射線を浴び後遺症に苦しんでいる人たちが、病気が原爆によるものだと政府に認めさせるべく、集団訴訟を起こしている。
 15度目の司法判決になった広島地裁判決は、その訴えを認め、原爆症の認定申請を却下した厚生労働大臣の処分を取り消した。
 広島地裁で注目されるのは、集団訴訟で初めて国家賠償を認め、賠償金を支払うよう命じたことだ。判決は分科会任せにしてきた厚労相の怠惰を厳しく批判した。
 厚労省は昨年4月、「機械的」とされる認定基準を改めたが、被爆による健康被害の実態を的確に捉えたものとは言い難い。新しい基準が特定の5つの病気に限っているからだ。
 もう一つ問題なのは、判決が批判した評価方法にこだわる委員の多くが分科会で審査に当たっていることだ。
 被爆者の被害実態に目を向けて認定基準を改め、新たな構成の分科会で審査に当たる。政府は今度こそ被爆者の声を真摯に受け止め、幅広い救済を急がねばならない。

WBC

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WBC優勝 に参加中!
2009/3/26 朝日新聞      社説  WBC


 国・地域別対抗戦(WBC)は、延長にもつれた韓国との激戦の末、日本が第1回大会に続く王座に付いた。
 今大会を特徴づけるのはアジア野球の台頭だ。3年前の第1回大会でも日本が優勝、韓国は4強入りしたが、米国の報道の焦点はもっぱら米代表のふがいなさにあてられた。
 今回は違う。日本や韓国の練習に、大リーグのスカウトやコメンテーターといった専門家が群がった。一見非力な日本や韓国のしたたかな強さに注目せざるを得なかったということだろう。
 日本選手の言葉をたどると、優勝の別の側面も見えてくる。最優秀選手となった松坂大輔投手は言った。「前回とは全く違う。今回は王者としてもう一度勝ちにいったのだから」。自らとチームが感じた重圧を語る言葉に、選手の意識の高さが映されている。
 次回は、米国ももっと本気でかかってくるだろう。本家と新興勢力の全力のぶつかり合いが、野球の魅力と可能性をさらに広げてくれるに違いない。

西松献金事件

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民主党 に参加中!
2009/3/25 朝日新聞     社説  西松献金事件


 民主党の小沢代表の公設第1秘書が、西松建設の違法献金事件で起訴された。政治資金規正法違反の起訴事実は、逮捕容疑とほとんど変わらず、あっせん利得や収賄など別の容疑に広がることはとりあえず無かった。
 この結果を受け、小沢代表は昨夜、記者会見し、引き続き代表にとどまる考えを表明した。秘書の逮捕以来、小沢氏は自らの潔白を主張してきた。そうであるなら、法的には裁判で争い、司法の場で決着をつければいい。
 だがそれとは別に、小沢氏には政治家として、説明責任という重い責任があることを忘れてもらっては困る。大規模な公共事業の受注をめぐってしのぎを削る業者との付き合いは、どのようなものだったのか。なぜ、影響力を期待されるようになったのか。そうした事情をきちんと説明すべきなのに、小沢氏がその責任を果たしたとはとても思えない。合法であっても、政治家として受け取るべきではないカネはあるのだ。
 そもそも、政権交代によって、官製談合や天下りを根絶し、税金の無駄遣いを徹底的に改革する。それが民主党の政権公約の柱のはずだ。だが、肝心の党首が「古い自民党」そのままの土建政治にどっぷりと漬かる姿が浮き彫りにされてしまった。国民の大方が納得できる説明を尽くせないのなら、小沢氏は代表から身を引くべきだ。
 情けないのは、この間、小沢氏の政治責任にほとんど触れようとしなかった民主党議員たちの姿だ。民主党は今日からでも、党の態勢立て直しを真剣に議論すべきである。
 今回の事件は、検察の捜査にも国民は釈然としないものを感じている。総選挙が近いこの時期に、なぜ最大野党の党首の秘書を逮捕したのか。金額の多寡はあっても、同様にカネをもらった自民党の議員たちはどうなのか。
 捜査は日本の政治の行方に重大な影響を及ぼす可能性がある。徹底捜査はもちろんだが、国民に対し、相応の説明を果たす必要があろう。

クローン牛

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2009/3/24 朝日新聞    社説  クローン牛


 体細胞クローンとは、ある動物と全く同じ遺伝子を持ついわば「コピー」を作る方法だ。
 これを使って生まれた牛や豚の肉は安全だ。厚生労働省から諮問を受けた内閣府の食品安全委員会は、評価書案でそう結論付けた。来月10日まで一般の意見を求め、正式に答申する。
 体細胞クローンは優れた肉質を持つなどの優秀な家畜を増やせると期待されている。だが、体細胞クローンには異常が多く、約3割が死産や生後まもなく死んでしまう。
 これについて評価書案は、内外の研究論文を調べた結果、半年を過ぎて育てば普通の牛と同じように健全だとした。
 科学的に安全という結論になったとしても、体細胞クローンによる家畜の肉がすぐに出回るのか。消費者が新しい技術について判断するには、多角的な視点が欠かせない。政府はそのための材料を国民に示す責任がある。食品安全委には、安全か否かを回答するだけでなく、消費者の立場に立った情報提供が求められる。

公示地価

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2009/3/24 朝日新聞    社説  公示地価


 景気の急激な落ち込みの影響が地価にも及んできた。国土交通省が発表した今年1月1日時点の公示価格で、住宅地、商業地の両方とも、47都道府県の全てで下落した。
 これほど広く地価が下落したのは実需が落ちたからだ。海外からの巨額の資金も世界金融危機でしぼんでしまった。
 こうなると、不況がもたらした地価の下落がさらに不況に拍車をかける、という悪循環が心配だ。保有地の時価が簿価をかなり下回ると企業は損失を計上しなければならず、業績の悪化が投資や雇用の削減を招くからだ。
 政府はそういうショックをやわらげるよう、企業の資金繰り支援などに一層目配りする必要がある。
 さらに、地価下落を経済危機に立ち向かうばねに利用するという逆転の発想も必要なのではないか。これだけ用地費が安くなれば、大型プロジェクトもこれでまでの想定より採算がとりやすくなるはずだ。この下落を経済再生のばねにしたいところである。

米排ガス規制

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2009/3/23 朝日新聞     社説  米排ガス規制


 自動車の排ガス規制に及び腰だったブッシュ前政権から一転、オバマ氏は基準強化を打ち出した。
 米国の消費者が好んで買っていたのは、燃費の悪い大型車だった。米自動車大手3社(ビッグ3)はそれに甘えて燃費改善努力を怠ってきた。米政府もビッグ3の競争力が一段と低下するのを恐れ、容認してきた。
 だが、未曾有の経済危機や環境問題への意識が高まり、オバマ氏は規制の強化により燃費向上を目指すメーカーの競争を促し、温室効果ガスの削減につなぐことを狙う。
 これは、破綻寸前のビッグ3を政府が支援するうえでの格好のテーマにもなる。支援には世論の批判が強いが、政府としては雇用への悪影響を考えると突き放せず、環境対策の一環ならば、支援に理解を得やすくなるからだ。
 米国で環境車が中心になれば、次世代技術の研究開発熱が世界的に高まる。燃費技術で優位な立場にある日本メーカーにとってはチャンスだ。全力で取り組んでもらいたい。

パキスタン

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反戦・平和 に参加中!
2009/3/23 朝日新聞     社説  パキスタン


 アフガニスタンの隣国であり、核保有国でもあるパキスタンの政情不安が世界の懸念を呼んでいる。
 ザルダリ大統領と野党指導者のシャリフ元首相は、強権振りが目立った軍人出身のムシャラフ大統領を退陣に追いやった。ところが、すぐに自派の利益を求めて関係は決裂した。
 先週、両氏は危機回避で妥協した。だが、この妥協で復職したチョードリ最高裁長官は、ザルダリ氏の汚職疑惑の追及に道を開く可能性があり、火種は残されたままだ。
 米国のオバマ政権は、パキスタンとアフガンの両国をまとめて安定化させ、国際テロの脅威を除こうと戦略を練っている。それなのに肝心のパキスタンで内政の混乱が続くようでは、有効な支援策も立てにくい。両氏は国際社会の重大な懸念を深刻に受け止めるべきである。
 国際社会が今やるべきことははっきりしている。支援が確実に民主化と安定の向上につながるよう、パキスタンの指導者たちに強く働きかけることである。

テロとの戦い

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2009/3/22 朝日新聞    社説  テロとの戦い


 米国のオバマ大統領は就任後、イラクからの米軍撤退計画を発表し、シリアやイランとの対話姿勢を示した。途方も無い犠牲と破壊の末、イラクは真の「戦後」に向けた転機を迎えている。
 だが、中東全体に目を向ければ、テロとの戦いはほとんど改善に向かっていない。やはり国民が政治に参加し、平和的に社会を改革できる民主主義の仕組みを作り、定着させる必要があろう。
 民主的な選挙をすれば民衆に根を張るイスラム政治勢力が勝つのは当然で、民主化は中東の安定化につながらない、という見方がある。だが、非民主的な態勢や地域の紛争が続く限り、過激派が国民の不満を吸収する構図も続く。この矛盾をどう乗り越えるか。それには、選挙に積極的に参加する勢力を政治に取り込み、中東平和などでも責任を持たせることが大事なのだ。回り道のように見えてもこれがもっとも確実な「テロとの戦い」だ。
 国際社会は中東の民主化へ支援を強める必要がある。

高齢者施設火災

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2009/3/22 朝日新聞    社説  高齢者施設火災


 群馬県渋川市の高齢者向け住宅「静養ホームたまゆら」で起きた火災は、10人の命を奪う惨事となった。悲劇で浮き上がってきたのは、いくつもの不備がからんだ施設のありようである。
 今回の火災でさらに驚くのは、入居していたうち15人が東京都墨田区から生活保護を受給していたことだ。都市部では低所得者向けの高齢者施設は空きがなく、その受け皿に地方の施設が使われてきたのが実情のようだ。しかもこの施設を運営するNPO法人は、群馬県に有料老人ホームとしての届出を出していなかった。それでは行政の目もなかなか届かない。だが、身近に受け入れ先が無ければ仕方なく、区ばかり責めるわけにはいかない。
 同じような無届けの老人施設は全国で350を超すという。政府や自治体は、こうした施設の運営や設備、介護、防火の態勢を緊急に点検する必要がある。施設の数をも増やしつつ、急速な高齢社会の安心と安全を確保する覚悟が求められている。

日本と核軍縮

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2009/3/21 朝日新聞     社説  日本と核軍縮


 「核のない世界」を目指すと公約して当選したオバマ大統領が来月初め、ロシアのメドベージェフ大統領との初の首脳会談に臨む。両核超大国が新たな核軍縮の道筋をどう描くか。これが大きな焦点だ。
 実は過去に、核廃絶に肉薄した両国の首脳会談があった。1986年10月、アイスランドでの会談だ。この時は、宇宙にまでミサイル防衛網を張り巡らそうとしたレーガン大統領にソ連のゴルバチョフ書記長が反発し、話は具体化しなかった。
 それから20年以上の月日が流れ、オバマ氏が再びこの目標に挑戦する。確かに廃絶への道は険しいが、歴史的な転換点にさしかかっていることは間違いない。この好機をなんとしても生かしたい。
 現在、米国とロシアは合わせて約1万発の核を持つといわれる。まずは米ロで大幅削減し、さらにその先の軍縮にも取り組むべきだ。
 日本が米国を後押しするには「核の傘」の問題を避けては通れない。日本周辺には、軍備増強する中国、北朝鮮の核問題という現実がある。日本は、核廃絶への道筋とそこへ至るまでの核兵器の役割などの大きな戦略について、米国との対話を深めるべきである。
 核不拡散の態勢をどう立て直すかも急務だ。来年、ニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議は当面の大きなヤマ場となる。そこで、日豪共催の形で設けられた「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」を活かしたい。世界の有識者15人によるこの委員会は10月、広島での会合で提言の大枠をまとめる。米国はこの提言を活かし、再検討会議でNPTの信頼回復の先頭に立ってほしい。
 「非核の日本」という看板は、強力なソフトパワーだ。これで廃絶への国際連帯への和を広げられれば、オバマ氏の後押しになる。だが、逆にオバマ大統領の意気込みが不発に終わると、核軍縮は冬の時代に逆戻りするかもしれない。被爆者の高齢化も進む中、日本の非核外交にとってオバマ時代が勝負の時である。


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