2008/9/30 朝日新聞 社説 パキスタン
パキスタンが揺れている。首都にある米国系ホテルに対するテロ事件や、文民政権の弱体化、さらに米軍がイラクからアフガンへの兵力移動に伴いパキスタン側への越境攻撃を開始したことから生じる、米国との外交の不安定化が起こっている。
心配なのは、パキスタンが核を保有していることだ。パキスタンの軍や情報機関は元来タリバーンと関係があるとされ、住民レベルでも関係が深い。性急にタリバーンへの攻撃を激化すると、反米機運が高まり、さらにザルダリ政権が揺さぶられて、テロリスト側に核が渡る可能性も出る。これだけは何としても避けねばならない。アフガンに目を奪われるあまり、パキスタンの治安を乱してしまうのは極めて危険なのだ。
テロとの戦いは力ずくだけではうまくいかない。回り道のようだが、貧困対策や社会開発のための支援を強めていく必要がある。国際社会はザルダリ氏の文民政治を支え、民心を安定させることを優先すべきだろう。
パキスタンが揺れている。首都にある米国系ホテルに対するテロ事件や、文民政権の弱体化、さらに米軍がイラクからアフガンへの兵力移動に伴いパキスタン側への越境攻撃を開始したことから生じる、米国との外交の不安定化が起こっている。
心配なのは、パキスタンが核を保有していることだ。パキスタンの軍や情報機関は元来タリバーンと関係があるとされ、住民レベルでも関係が深い。性急にタリバーンへの攻撃を激化すると、反米機運が高まり、さらにザルダリ政権が揺さぶられて、テロリスト側に核が渡る可能性も出る。これだけは何としても避けねばならない。アフガンに目を奪われるあまり、パキスタンの治安を乱してしまうのは極めて危険なのだ。
テロとの戦いは力ずくだけではうまくいかない。回り道のようだが、貧困対策や社会開発のための支援を強めていく必要がある。国際社会はザルダリ氏の文民政治を支え、民心を安定させることを優先すべきだろう。