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2008/11/25 朝日新聞      社説  不況と温暖化


 世界はいま、100年に1度とも言われる経済危機に直面しており、不況から脱出するのが最優先だ。そこで米国のオバマ次期大統領は新たな発想で不況に挑もうとしている。
 道路やダムを作る従来型の公共事業ではなく、脱温暖化ビジネスを広げていくことで雇用を生み、環境と経済の両方の危機を同時に克服する、というのだ。その意味で、オバマ氏の政策は「グリーン・ニューディール」と呼ばれ、環境への投資で危機を打開したいという期待がこもる。
 温暖化防止のための様々な取り組みに対して、「経済成長を妨げる」として背を向けたブッシュ路線からの180度の転換である。世界最大の二酸化炭素排出国が「チェンジ」を決断すれば、13年以降の排出削減の枠組みを作る国際交渉に弾みがつく。
 いまや米国にとどまらず、世界各国がグリーン・ニューディールを実践する時代に入ったといえる。先進諸国が低炭素化と経済成長を両立させる政策に乗り出し、経済が拡大する中国やインドなどの新興国や途上国にも同様の政策をとるよう促し、支援していくべきだ。
 オバマ政権の米国がこの流れを加速させれば、遠からず、低炭素型の産業構造が世界標準となろう。新たなビジネス環境の下で、各国の企業は低炭素むけの技術開発を競うことになろう。
 日本では先月、二酸化炭素の国内排出枠取引の試行に参加する企業の募集が始まった。だが「企業活動の妨げになる」と反対する産業界に妥協したため強制力に乏しく、実効性に疑問符がつく。
 先進国はどこも経済が成熟し、成長のタネを見つけにくくなった。脱炭素は経済の制約どころか貴重なビジネスチャンスとなろう。日本の環境・エネルギー技術は世界トップレベルで、「チェンジ」の試みも数多い。足りないのは、それを促し後押しする仕組みである。
 不況の荒波が予想される中では勇気がいるが、低炭素を競う時代の到来を見越して、政府は先頭に立って後押ししてほしい。

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