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2008/9/5 朝日新聞        社説  タイの混乱


 タイの首都バンコクで反政府の民主主義市民連合(PAD)が首相退陣を求めて首相府を占拠したが、退去の気配がない。国会多数派の首相も退陣を拒み、非常事態との宣言がされた。なぜこの事態に陥ったのか。
 06年、PADはタクシン元首相の腐敗を追及し、同調した軍はクーデターで政権を倒した。元首相率いる愛国党は解党したが、新憲法の下で前回の総選挙に勝ったのは愛国党の流れをくむ「国民の力党」だった。その党首であるサマック氏はタクシン系の政党と連立を図って政権を握り、タクシン氏の復権に道を開く憲法改正に乗り出そうとした。これを皮切りに前回同様軍の動きを期待し、PADが首相府を占拠したのだ。
 タイは東南アジア諸国連合の中核の一つだ。この国の混乱は、アジア全体に多大な損失を与える。今のところ軍は動く気配がない。軍は冷静な姿勢を保ち、さらなる流血は避けねばならない。この危機を、民主主義を深める契機としてほしい。

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