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福田首相の辞任、次期総裁レース…あなたの意見は? に参加中!
2008/9/2 朝日新聞      社説  福田首相辞任


 福田首相が唐突に辞任を表明した。自民党の首相が2代続けて自ら政権を放り出すことになり、極めて異常かつ無責任な行為である。首相はなぜ辞任に踏み切ったのか。
 首相は政権を引きついだ当初から、参院の多数派が逆転した「ねじれ国会」の運営を迫られた。これを打開しようとしかけた切り札は、小沢民主党代表と語らっての「大連立」構想だった。だがこれが民主党内での反発で立ち消え、首相はほかに打つ手を思いつかず、早期解散・総選挙に的を絞った小沢民主党と諸政策で徹底的に対決することとなった。
 この危機を首相は「衆議院の優越」を利用し、再可決することでしのいだ。しかし再可決には衆院を通過してから60日の日数がかかる。遅々として進まない政治への世論の苛立ちが現れてきてしまった。
 しかしちょうど1ヶ月前、首相は内閣改造でようやく自前の布陣を整え、秋の臨時国会に向けて意気込んでいたはずだ。それがここへきて唐突に首相に辞任を決断させた決定打は、与党である公明党からの思わぬ攻勢だった。世論の反発を買うとして、来夏の東京都議選をにらんで早期解散に目を向ける公明党が、衆院の再可決に待ったをかけた。さらに予算のばらまきにつながるとして渋る首相を押し切って、定額減税を受け入れさせた。公明党の協力がない限り、衆院の再可決の道は閉ざされる。選挙になれば創価学会の支援なしには自民党の勝利は全くおぼつかない。民主党、世論、そして公明党。これらが首相のやる気を失わせたのだろう。
 「ねじれ国会」という根本的な矛盾がある限り、世論の支持はあがらず、自民党の誰が首相になろうと政権運営はいき詰まる。自民党総裁選を経て選ばれる次期首相の使命は、できるだけ早く衆院を解散して国民の審判を受けることだ。社会保障の建て直しと財政の再建を両立させる方法を国民に示し、民意を体した正統性のある政権を1日も早く日本に取り戻さなければならない。

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