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2010/4/11 朝日新聞    社説  キルギス政変


 戦略的に重要であれば、その国のはらむ大きな問題に目をつぶって援助をしてよいか。キルギスの政変は、こんな問いを国際社会に投げかけている。
 キルギスを含む中央アジアは、長くソ連共産党の独裁のもとにあって民主主義の伝統が乏しく、強権的な傾向が強かった。そうした国々が独立した当初、国際社会は国づくりを支援するにあたって民主主義や人権の尊重を強く働きかけた。しかし2001年に米国同時多発テロ後、アフガンでの対テロ作戦に隣接する中央アジア諸国の協力を得るため、民主化の圧力は弱まった。
 とりわけキルギスは中央アジアで唯一の米軍基地があり、米国が多額の経済援助をつぎ込んできた。ロシアも米国の進出を牽制するために財政援助をし、結果的にキルギスの政権の腐敗や強権を延命させる形となった。
 中央アジア諸国への国際社会からの支援は必要だが、短期的な視点に傾きすぎず、民主化や経済の安定に役立つものへ見直すべきである。

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