今日の朝日新聞社説-要約-

朝日新聞社説の要約です。忙しいあなたなら3分で読める今日の社説。受験生のあなたには要約のススメ。

原爆症認定 -- 判決通りに人道重視を

2014 3/24(月)  原爆症認定 -- 判決通りに人道重視を


 広島、長崎で被爆しながら、国に原爆症と認められなかった人たちが起こした裁判で、またも国は敗訴した。

 焦点は、爆心地から数キロという遠距離で被爆した人や、投下後に爆心地付近を歩いた人(入市被爆者)だ。

 遠距離や入市被爆者の病気については、体内に入った放射性物質による内部被爆の影響を疑う見方が根強い。今回の大阪地裁もこの点を踏まえ、厚労省が依拠する学会の通説には限界があると指摘した。

 認定後には月13万円余りの手当が一律支給される。厚労省は原爆症認定を増やせば予算も膨らむと懸念するが、だからと言って認定を絞るのは誤りだ。まず幅広く認定し、手当については病気によって調整するなど、被爆者団体との話し合いで適切な額を考えていけばいい。

 安倍首相は昨年夏、「一日も早い原爆症認定に最善を尽くす」と被爆地で誓った。司法判断を重く受けとめ、人道的な決断をしてもらいたい。



*チェックポイント
・原爆症に関する裁判でまたも国が敗訴
・焦点は、遠距離や入市被爆者
 → 内部被爆の影響
・予算が膨らむことを理由に認定を絞るのは誤り
 → 病気ごとに額を調整していく
・人道的な判断を

大阪市長選 -- 「信任」からはほど遠い

2014 3/24(月)  大阪市長選 -- 「信任」からはほど遠い


 議会の抵抗で行き詰まった大阪都構想を前に進めようと、大阪市長だった橋下徹氏が出直し市長選挙を仕掛け、再選を果たした。

 だが、主要政党は「市長に独り相撲を取らせる」などとして候補者を立てず、論戦は停滞し、投票率は歴史的な低さとなった。

 選挙で勝ったものこそ民意 — 橋下氏の以前からの持論である。だが、今回の選挙で浮き彫りになったのは、そうした考え方や手法の限界である。

 橋下氏に反対しながら対立候補も立てなかった野党の姿勢にも、市民の厳しい芽が向けられていることを忘れてはならない。急速な高齢化が進む巨大都市で、将来の財政破綻をどう回避し、発展していくのか。野党側も説得力あるビジョンを示して議論を挑む責任がある。

 必要なのは正面衝突でなく、幅広い合意形成である。改革を進めるには、結局は市民の理解と納得が欠かせない。日程は白紙に戻し、市長も野党も時間をかけてわかりやすい論戦を繰り広げてほしい。



*チェックポイント
・大阪市長の再選
・結果:論戦は停滞、投票率の低さ
 → 選挙で勝ったものこと民意:この考え方や手法の限界が見えた
・対立候補をたてなかった野党にも責任有り
・合意形成にむけて、議論していくことが求められている

復興予算 -- 無理な執行は禁物だ

2014 3/13(木)  復興予算 -- 無理な執行は禁物だ

 東日本大震災の復興予算は、5年で25兆円におよぶ。被災地以外への「流用」がすでに問題になったが、被災地では予算が使い切れず、先送りしている実態がわかった。

 どこに原因があるのか。福島県のように、除染のため、本格的なインフラ復旧が遅れる事例もある。ただ見過ごせないのは、復興を担う市町村の人手不足だ。全国から派遣される応援職員や、任期付きの「助っ人」職員で補ってはいるが、必要な技術は知識を持つ人材の供給は限られている。

 追い打ちをかけているのが、東京五輪の開催決定で強まった資材や人件費の高騰である。入札の不調が相次ぎ、事業の実施がさらに遅れている。

 これまで明らかになったマンパワーなどの制約条件や事業執行の難しさを踏まえて、執行期間の延長など柔軟な対応を検討し、被災自治体に「焦らなくていい」というメッセージを送るべきだ。それが増税で賄われた資金の有効な使い方につながる。



*チェックポイント
・被災地で予算が使い切れていない実態
・その原因は?
 → 人手不足:人材の供給に限りあり
   資材や人件費の高騰による入札の不調
・まとめ:復興予算の延長など柔軟な対応を

賃上げと景気 -- 好循環への経営改革を

2014 3/13(木)  賃上げと景気 -- 好循環への経営改革を

 政府が賃上げを要請する異例の展開となった今春闘は、きのう主要企業が回答を示した。賃金体系を底上げするベースアップの実施やボーナスの高額回答が相次いだ。

 賃金上昇が消費を活性化し、デフレから脱却していく道筋がどの程度確かになるかは、後に続く中小企業や非正規労働者への波及次第だ。そのハードルは低くない。

 国内景気は株高による資産効果や財政出動に依存してきた面が強い。また、支出が増えても製品や部品の輸入拡大に結びつき、国内の中小企業には及びにくい構造になっている。

 それでも賃上げ要求の裾野は近年になく広がっている。時給の改善を単なる需給要因で終わらせず、雇用の安定と生活を支えるに足る賃金水準の確保という働き手の切実な要望に経営者も耳を傾けてほしい。

 企業は賃上げと成長を両立させる経営の展望を、投資家に示すという宿題を負う。経営者には、好循環に向けた意識改革が求められている。



*チェックポイント
・主要企業による春闘への回答:ベアの実施やボーナスの高額回答
・デフレ脱却への道は、中小企業や非正規労働者への波及次第
 → そのハードルは低くない:理由を2つ
・賃上げの裾野は広がっている。経営者には働き手の要望に耳を傾けてもらいたい。
・まとめ

選挙制度改革 -- 前提なしで抜本議論を

2014 3/10(月)  選挙制度改革 -- 前提なしで抜本議論を

 自民、公明の与党と、民主、日本維新の会、みんな、結い、生活の野党5党が、選挙制度改革に向けて衆院議長のもとに有識者による第三者機関を設置する方向で合意した。本来は各党が利害得失を超えて議論を重ね、結論を出すべき問題であり、真摯に反省してもらいたい。

 設置に当たり重要なのは人選である。また、課題については優先順位をはっきりつけた上で諮問するのが筋だ。最優先課題はやはり、一票の格差是正である。

 消費増税を前に、「身を切る改革」としての定数削減に衆目が集まっている。だが、「身を切る」だけなら、政党交付金やさまざまな手当の減額も可能だ。その意味でも、定数の問題は、抜本的な選挙制度改革と合わせて第三者機関に議論してもらうのが望ましいだろう。

 選挙制度は、どのような民主主義を志向するかで選択が変わってくる。第三者機関にはどんな前提もおくこともなく、抜本からの議論を期待したい。



*チェックポイント
・選挙制度改革に向け第三者機関の設置に合意
・本来は各党が議論して決めるべき → まずは真摯に反省を
・重要な点
 → ・人選
   ・優先順位をつける
・「身を切る」議論は委託せよ
・第三者機関には前提なしに、抜本的な議論を期待する

震災と教育 -- 学ぶ志に希望を見る

2014 3/10(月)  震災と教育 -- 学ぶ志に希望を見る

 東日本大震災から3年経つ今もなお、被災地の子どもたちを取り巻く環境は厳しい。その一方で、希望の芽も探すことができる。

 岩手・宮城・福島の3県の大学進学率には落ち込みが見られない一方、高校卒業後に就職も進学もしない生徒は減った。また、「再生可能エネルギーを学びたい」というような明確な志望動機を持つ大学受験生が増えているようだ。

 東北の危機を「わがこと」ととらえ、自分にできることを考える。福島県立福島高校の生徒有志は、課外の活動で福島復興プランを考えている。例えば、原発事故で宿泊客が激減した地元の温泉街の再建に向け、温泉の熱を使った南国の果実の試験栽培が始まった。福島大学が経済協力開発機構(OECD)と進めるプロジェクト「OECD東北スクール」もその一例だ。

 自分が今居る場所から、このさきの社会を考える。東北で出た芽が全国に広がるなら、未来は捨てたものではない。


*チェックポイント
・被災地の子供を取り巻く環境は依然として厳しい
・一方で、希望の芽を見ることもできる
 → ・子供達は将来を見越して自分の進路を決定、具体的な将来設計
・自分にできることを取り組んでいる
 → ・温泉街の再建、OECD東北スクール
・出た芽を見れば、未来を明るく見通せる

集団的自衛権 -- 解釈で9条を変えるな

2014 3/3(月)  集団的自衛権 -- 解釈で9条を変えるな

 集団的自衛権とは、日本に関係のある国が攻撃されたとき、自衛隊が反撃に加勢する権利である。この権利をめぐり、歴代内閣は「国際法では認められているが、憲法はこの権利を使うことを許していない」と答えてきた。それを安倍首相は、憲法9条の解釈を変えることで集団的自衛権を行使できる形に変えようとしている。

 冷戦終結後、テロや地域紛争が増えた。中国の台頭と北朝鮮の核開発で、東アジアの緊張は高まっている。大きく変わった安全保障環境に合わせ、政府は米国からの要請と9条との折り合いに四苦八苦しながら、自衛隊の活動範囲を広げ、苦しい辻褄合わせを重ねてきた。

 首相はこのような安全保障政策の綱渡りを、一気に解消したいのであろう。ならばなおさら、正面からの議論が必要である。

 いつでも集団的自衛権を使えるようにして、自衛隊を「普通の軍」にしたい。そんな理念が先走っていないか。それにこだわるあまり、領土を守ったりPKOにもっと積極的に参加したりするにはどんな法制が必要かという、目の前にある課題の議論を妨げていないか。

 日本は、自国を守るための必要最小限の実力しか持たない。海外で戦争はしない。それは戦争の反省からうまれた平和主義であり、憲法の基本原理の一つだ。集団的自衛権をめぐる解釈は、国会での長年の議論を通じて定着した、いわば政府と国民との間の合意だ。時の首相の一存で改められれば、民主国家がよってたつ立憲主義は壊れてしまう。

 集団的自衛権の容認が意味するのは9条の死文化だ。平和主義の根幹が変わる。自衛隊員が他国民を殺し、他国民に殺される可能性が格段に高まる。それでも日本が国際社会に生きるために必要だというなら、国会での論戦に臨み、憲法96条が定めた改正手続きに沿って進めるのが筋道である。憲法の解釈変更のみで自衛権を認めることは許されない。

TPP交渉 -- 日米の責任は大きい

2014 2/27(木)  TPP交渉 -- 日米の責任は大きい

 環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐるシンガポールでの閣僚交渉は、合意に達することができなかった。

 参加12カ国のうち経済規模でず抜けている米国と日本が、関税分野で折り合えなかったことが主因であり、両国の責任は重い。

 牛・豚肉やコメなど日本が高い関税で守っている「重要5項目」について、米国は一律に関税ゼロを求める姿勢を崩さなかったようだ。今秋の中間選挙を控えてことさら強硬になっているようだが、国内事情を交渉に持ち込むのは筋違いである。

 日本にも、問題は多い。全品目のうち関税を撤廃する品目の割合である自由化率で、日本の提案は米国を含む他の国より大きく見劣りしている。重要5項目のうち4割は輸入実績がない。品目ごとに関税を下げたり撤廃したりする余地は十分あるはずである。

 アジア太平洋は今後、高い成長が期待できる地域である。TPPの目的は何か。両国政府は改めて確認し、粘り強く交渉する必要がある。



*チェックポイント
・TPPで合意に達することができなかった
・米国と日本が関税で折り合えなかったことが主因
・両国の責任は重い → 各々の国への提言
・まとめ

エネルギー政策 -- これが「計画」なのか

2014 2/27(木)  エネルギー政策 -- これが「計画」なのか

 安倍政権が新しいエネルギー基本計画の政府案を決めた。

 焦点の原発については依存度を「可能な限り低減させる」としながら、原子力規制委員会の審査状況が見通せないために、具体的な数字は盛り込めないという。「減らす」というからには、数字が出せなくとも、その手順を示すのが最低限の条件である。

 詰めるべき点は多々ある。使用済み核燃料を全量再処理する核燃料サイクル事業の行く末や、老朽化した原発の閉鎖手順、30キロ圏内に義務づけた防災計画が再稼働時に効く度合い、使用済み核燃料棒の保管場所確保の義務づけ。

 原発は政府の支援がなければ成り立たない電源である。事故の反省をもとにエネルギー計画を立てる以上、まず政府自身が原発に偏ってきた政策を改めるべきである。そうしない限り、政権が進めようと意気込む電力改革も挫折する可能性が高い。



*チェックポイント
・エネルギー基本計画の新政府案
・手順すらないのは、計画とはいえない
・詰めるべき点
・原発に偏ってきた政策を改めるべし

南シナ海問題 -- 中国は合意を忘れるな

2014 2/24(月)  南シナ海問題 -- 中国は合意を忘れるな

 日本周辺の東シナ海だけでなく、台湾以南の南シナ海でも、中国が影響力を広げようとする行動が目立っている。

 中でも不可解なのは、「9段線」と呼ばれる境界線だ。1947年に中華民国内政部(当時)が引いた線を受け継いだものだが、現時点での意図ははっきりしない。領海なのか、排他的な経済権益なのか。何であれ、国際ルールとは相いれない。

 中国はこれまで強硬路線と対話路線の間を揺れてきた。80〜90年代、ベトナムとフィリピンが領有を唱えるスプラとリー初頭の岩礁を占拠したり、監視施設を設けたりした。一方、ASEANとの間で、平和解決を目指す02年の「行動宣言」、さらに12年に「行動規範」作りに合意した。

 南シナ海問題をめぐり中国は周辺国と平和解決をめざすルール作りで合意したはずだ。みずから合意の精神に背き、大国エゴに走る行動は地域の警戒心を高めるだけだ。中国は自身の利益のためにも、行動を自制すべきである。



*チェックポイント
・南シナ海における中国の台頭
・不可解な「9段線」
・強硬路線と対話路線で揺れてきた中国
・主張:南シナ海におけるルール作りで合意したはず。行動を自制せよ。


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